憧れは、遠くにあるから美しい・・・なのかね
2014年 10月 03日
瀬から渕、巻きと落ち込み、岩の前や後ろ側、右岸も左岸もじっくりと探すのだ。
探したって簡単には見つからないんだけどね、今年の8月に一度だけ、大渕の底にヤツの姿を見たことがあったのす・・・
ヤツって、誰なのや?
ヤツとは・・・一昨年初めて逢った、そして去年も・・・ヤツは1年で3Cmも成長していたすよ。
今年も逢うことができるなら、ヤツは40Cmを超えているはず。
以来、ずっとオラの心の中を泳いでいたすよ、それは、オラの憧れの山女なのだす。
今年の8月、一度だけヤツの姿を見たことがあったすよ。
水面が鏡になった一瞬、大渕の底にヤツの姿が見えたのだ。
何故にヤツだと判るのかって?ハッキリ確認できたわけじゃ無いけど、あの大きさと、存在感でそう思っただけなんだけどね。
手も足も出せない場所に居つくヤツを見て、居るだけで嬉しく思ったもんだす。
今日はあいにくの雨なのだ。
カッパを着るのもメンドクセーと思う程度の雨だったからね、そのまましっとりと濡れながら釣り上ったのだす。
やがて、ヤツが居るであろう場所へとやって来たのだ。
オラは隈なく姿を探したすよ、何処に居るのか判らんが、何処かに居ることは間違いないと信じてね。
今日も姿は見えないべ・・・ふと、何気なく視線を向けた場所、意外な所にヤツの姿があったのだ。
オラは頭を低くし、ゆっくりと後ずさりして岩の後ろに隠れたべ・・・
目立つであろうオレンジの帽子を脱ぎ、再び確認するべく、そ~っと覗き込んだのだ。
「ヤツに間違いないべ・・・」
悠々と泳ぐその姿は、オラの心の中で泳ぐ姿と重なって見えたよ。
その距離は近かったよ、3mあったべか?次第に強く降りはじめた雨がオラの気配を消してくれたのかもしれないべ。
しかし、その近さゆえにロッドを振れば、気配を察知されるのは確かだったべ。
そばに居ても手を出せず、ヤツの行動を観察することにしたのだ。
長期戦になるかも・・・オラはベストの上からカッパを羽織ったよ。
すっかり濡れ鼠だったけどね。
ヤツはたまに何かにゆっくりとライズしていたすよ、んでも、目を離したすきに居なくなってしまったのだ。
「あちゃ~、さっきダメもとで狙ってみれば良かったべか・・・」
姿を再び探すと、ちょっと離れた場所に移動していただけだったのだ。
一度見失った後ゆえに、狙ってみるべか・・・とも思ったけどね、今一度観察してみることにしたのす。
狙うには無理がある場所だったこともあってね。
したれば、なんとなくヤツの行動パターンが見えてきたのす。
ヤツは本物の流下物でも気に入らないものが流れて来ると、一度沈んでしばらくすると、再び浮いて別な場所へと定位するようだったよ。
「なんたら用心深いヤツだってや・・・」
オラはティペットを2サイズ太くしたよ、掛けたときの綱引きに負けないようにね。
フライは2サイズ小さくしたべ、用心深いヤツを騙すためにね。
ティペットは1フィートほど短くしたよ、一発で決められないとアウトだと思ったからね。
そして、ベストに携帯してるスティックのりをティペットに塗り、オラのツバで濡らしたべ。(なんか汚ね~な)
スティックのりでも硬いタイプがあってね、数キャスト持てばいい場合に使う、オラのお気に入りのシンク剤の代用なのだす。
ティペットが沈めばアンカーになって、ドラッグもかかりにくくなるし、太めのティペットの影は雨が消してくれると信じてみたよ。
3度、4度と定位する場所を変え、あそこならば・・・と思える場所へと動いたすよ。
今ならばチャンスがあるかと思ってね、ヤツの守備範囲へと四畳半アントを送り込んだべさ。
ヤツはゆっくりと・・・あっけないほどにフライを銜えたのだ。
それから綱引きが始まったべ、下流に走ったヤツを止めるには4Xのティペットは心強かったよ。
んでも、もんどりうって流れの抵抗が掛かったときは、止めることはできなかったよ、ロッドの曲がりも限界だったから、ラインを出さずにはいられなかったのだよ。
「これ以上下がられたらまずいな・・・」
ヤツのファイトはまだ続くべな・・・そう思ったれば、意外と早く観念したようだったべ。
ちょっと拍子抜けする所はあったが、ヤツはオラのネットへと入っていたのす。
じっくりと眺めると、間違いなくヤツだと判ったよ、んでも、オラの思い描いていたヤツの姿とは違っていたのだ・・・
3度目の再会の喜びよりも、「釣ってしまった・・・」そんな後悔の想いがよぎったすよ。
細くなった体と、痩せこけた頬・・・目の周りはくぼみ・・・
そんな姿のヤツがオラの前に横たわっていたすよ。
反対側には何かにやられたのだべか、エラがむき出しになるほどの大きな怪我をしていたよ。
んでも、オラはカメラのレンズを向けることはできなかったべ。
メジャーを当ててみたが、去年から全く成長はしていなかったよ・・・
いや、むしろ縮んでるかもしれないべ、もっと大き、く逞しく成長してるべと思っていたが、もう正確に測る必要は無かったすよ。
雨は激しくカッパを叩いたよ、まるでオラを責めるかのようにね。
憧れとは、遠くにあるから美しくあるものなのだべかね・・・
んでは、元気でな・・・オラの憧れの山女・・・
人も魚も、命ある物は歳を重ねれば老いるもんだよね、そりゃあ当然の事。
オラも今しか出来ないことをやり遂げてみるべかね・・・
いつしか止んだ雨後の晴れ間が優しく感じられたすよ。
今シーズンのオラの渓流釣行はこれにて終了だす。
オラの心の川にはね、ヤツの姿が泳いでると思うすよ、これからも、ずっとね。
え~と、最近記事のアップも遅れがちになっちまいまして、
突然だけれど、当ブログは一旦休止させてもらいたいと思います。
今までコメント頂きました方々、覗いて頂いた方々には本当に感謝致します。
私事に落ち着いたなら、再開したいと考えておりますが・・・
リンク先の方々にはお邪魔することもあると思います、ちゃんと相手してちょ~だいね!
それでは皆様、お元気で、さよ~なら~。